Road to 「my club」

マイクラブ設立を目指すコーチ達へ

イワシの群れ

イワシの群れ。

 

水族館の名物。

 

無数のイワシが一糸乱れぬ動きで右へ左へ。

 

なぜイワシという矮小な生き物が

 

まるでプログラミングされたかのような動きが出来るのか。

 

群れのボスが率いているのか。

 

違います。

 

よく観察していれば分かりますが

 

群れが一斉に動いているので

 

何らかの信号を受け取ってからでは

 

あまりに遅いのです。

 

実はあの動きは

 

イワシの本能からくるいくつかのシンプルなルールによって成り立っている」

 

と言われています。

 

そのルールというのは

 

①分離ルール:他との衝突を避ける

②整列ルール:近隣の群れと方向を合わせる

③結合ルール:近隣の群れの中心に向かう

 

この3つだけと言われています。

 

このルールに各々のイワシが従うことで

 

イワシの群れが完成するのです。

 

不思議ですねえ。

 

集団であれだけまとまった動きが出来る裏には

 

もっと複雑なメカニズムがあると思うじゃないですか。

 

実はそうではなく

 

シンプルなルールによって群れは作られているのです。

 

そしてそのイワシの群れとサッカーは似ています。

 

僕もそこまで詳しいわけではありませんが

 

同じ「複雑系」としてくくることが出来ます。

 

考えれば分かると思います。

 

十人十色の選手が相手味方合わせて22人もいて

 

グラウンドの状況や審判のジャッジング

 

天候やギャラリーの声などなど

 

選手のパフォーマンスに影響を与える要素は数限りなく存在します。

 

その1つ1つが複雑に絡み合って勝敗という結果をもたらす。

 

サッカーは複雑系のスポーツです。

 

僕はその理解で止まっていました。

 

ですが昨日Kコーチからレクチャーを受けたことで

 

一気に整理を進めることが出来ました。

 

イワシの群れの一糸乱れぬ動き。

 

あれをサッカーでも再現できたら強くないですか?

 

間違いなく強いです。

 

全員が同じ方向を向いてプレーするわけですから

 

強くないわけがありません。

 

黄金期を築いたバルセロナ

 

プレミアで独走したマンチェスターシティを想像してもらえれば一目瞭然。

 

小魚でも群れになれば鯨を撃退することも出来るのです。

 

かの有名なスイミーです。

 

じゃあそんな群れを作るためにはどうすればいいのか。

 

それはまさにシンプルなルールを作ることにあるのです。

 

以前の僕は何でもかんでもパターンを作ることに注力していました。

 

「このときはこう」

 

を無数に作ってそれを選手にインプットさせるイメージです。

 

ですがそれではあまりに時間がかかり過ぎる上に

 

小学生の理解力&暗記力では限界があります。

 

いや、大人でも心拍数が170~190に近い中で

 

ケースバイケースでパターンの引き出しを開けることは容易ではありません。

 

不可能に近いとも言えます。

 

さらに「このときはこう」というのは

 

つまり「パターン」にしかなりません。

 

パターンというのはある場面では強いけどある場面では弱い

 

という脆弱性を持ち

 

さらには研究されて対策されると

 

効果を失うというリスクもあります。

 

そこで選手にはシンプルなルールだけを提示するのです。

 

それはまさにイワシの群れと同じようなものです。

 

「出来るだけシンプルに、かつ選手が理解しやすい、かつサッカーの原理原則に則ったもの」

 

そんなルールを作って選手に提示します。

 

例えば

 

「ボールホルダーがフリーだったら受け手は離れる」

 

というプレー原則。

 

非常に簡潔です。

 

もちろんサッカーの原理原則にも則っています。

 

だってボールホルダーがフリーなのに近づいたら

 

ボールホルダーのスペースを消しちゃいますよね。

 

スムーズに前進できませんよね。

 

相手のマーカー1人で2人見られることにもなりますよね。

 

つまり

 

「出来るだけシンプルに、かつ選手が理解しやすい、かつサッカーの原理原則に則ったもの」

 

なわけです。

 

もちろんあらゆる場面でも応用ができるので

 

これはパターンにはなりません。

 

これが

 

「右CBがボールを持っていて、かつプレッシャーを受けていなかったら、右SHの選手はなるべく深さを取ってボールを受ける」

 

にしてしまうとこれはもうパターンになってしまいます。

 

右CBがフリーで右SHが深さを取れるときは良いですが

 

「右CBがプレッシャーを受けているときは?」

「右SHがマークをされているときは?」

 

結局は柔軟性のない「パターン」止まりになってしまいます。

 

お気づきの方もいるかもしれませんが

 

パターンからは「相手の想定」が抜けています。

 

だから「自分たちはこうすれば強い」に固執した結果

 

対策されてしまうと一気に脆さを露呈してしまいます。

 

もっと言うと上記のプレー原則では明確性が抜け落ちているため

 

「なるべくってどのくらいやねん」

 

と選手は思うことでしょう。

 

選手を混乱させる事も御法度になります。

 

そう考えると自ずと

 

「シンプルなルールによって流動性を生み出す」

 

という方法が最も適切だという結論にたどり着くわけです。

 

この結論にたどり着いたとき

 

一気に視界が開けた気がしました。

 

早速原理原則に則って自分なりのプレー原則を作ってみようと思います。

 

皆さんも是非。

 

複雑系について学びたい方は、導入として

 

まずは山口遼さんの戦ピリ本がオススメです。

 

それでは。