量より質
先日、とある引っ越し会社の営業の方とお話をしました。
その方はなんと名門・青森山田高校出身。
高校サッカーで一強とも呼ばれる程の強豪です。
その方はなんと柴崎選手と学生時代友達だったそうです。
サッカーの道に生きる者として、興奮しないわけがありません。
いろいろ突っ込んだ話を伺う中で、彼の当時を物語るこんなエピソードが。
それは柴崎選手が「朝2時半」から練習をしていたというもの。
驚きを通り越して唖然としてしまいました。
その方はよく早起きをして柴崎選手の練習に付き合っていたと言いますが、それにしても早すぎます。
それほどの努力をしたからこそ、今ああして代表に名を連ねているんだなと、誰もが納得するでしょう。
しかし同時にこうも思うわけです。
「それだけ練習してもリーガではスタメンを張れないのかあ」
と。
朝2時半に起きて練習していた柴崎選手がスタメンになれないのなら、一体リーガの選手は何時から起きていたのかと。笑
朝早起きして練習して、授業を受けて、また練習して、居残りでも練習して...
恐らく柴崎選手はそういう学生時代を過ごされたと思います。
間違いなくリーガのどの選手よりも練習していたことでしょう。
もし引っ越し業者の方の話が本当なら。
それでも野球界でいうイチロー選手や大谷選手のような活躍は出来ていません。
切ない話です。
もちろん柴崎選手のプロ生活を「成功」と捉えれば、それまでです。
ちゃんと「量をこなせば」プロになれることも証明してくれてますからね。
それでもやっぱり上記の感想に戻るわけです。
今でも質より量を課すトレーニングが育成年代では多いはずです。
ウチのチームの高学年も3時間くらい練習しています。
ですが、それはもはや時代遅れです。
現代の通説では間違いなく「量より質」です。
実際に地元の中学校も1時間半の練習で県大会優勝を飾っています。
他にもそういった事例は枚挙にいとまがありません。
「練習は多ければ多いほど良い」という考えは早く捨てるべきでしょう。
理由の1つに量をこなしても、その結果「その量をこなすための体力調整」を身体が覚えてしまうから。
3時間の練習だったら、3時間の練習をこなすための体力にしかなりません。
体力が付いたと思っても、それはもはやサッカー用の体力ではありません。
サッカーは断続的なスプリントや切り返し動作が多くあります。
サッカー用の身体を作ろうと思ったら、間違いなく長時間練習は不適切です。
昨日の試合後にも代表がとある子供に
「ちゃんと練習してんのか!こいつは朝練もしてごっつうまなってるで!」
「下手になってるんちゃう?自分でやらないとあかんよ」
と発破をかける一幕がありました。
子供は何も言い返せません。
でもその光景にはさすがに違和感がありました。
いくら尊敬する代表と言えども、間違っていると思います。
朝6時に起きて朝練をしている子供達が偉いとは、僕は全く思えません。
むしろ「ちゃんと寝ろ」と思ってます。
よく目にするのが海外では「朝練」という文化がないという話。
それでも世界には日本より強いチームがごまんとあるのです。
もちろん僕は実際に世界中を回って確かめたわけではないので、本当に朝練がないのかは分かりません。
ないと言いつつ、やっている子供もいると思います。
でも小学生のうちからそんなことをしても、負担にしかならないと思うわけです。
よく食べてよく寝る。
サッカーの練習など二の次三の次でいいんです。
もちろん本人がやる気なら、そっとしておくのも手かもしれません。
けどそれは大人が押しつけるものではありません。
練習外の練習はやりたければやればいいし、やる気のない子に無理にやらせるものでもない。
チームを強くしたいという気持ちがあるにしても。
それよりも、限られた練習をいかに充実したものにするか。
コーチが熱を注ぐべきはここだと思います。
量より質。
自分も含めて今一度頭に入れておきたい、現代サッカーの常識です。